日本社会のDXに欠かせない「共創」という考え方 ー COCOAの失敗から学ぶべきこと

こんにちは、堀江政経塾・ネット党員のとにぃです!

堀江政経塾のメインテーマである「政治の世界にDX(デジタルトランスフォーメーション)を起こそう!」を広めるべく、まずは、日本政府がどのくらいDXに取り組んでいるかを中心に記事を書いております。

DXとは?」についてはぜひこちらの記事をご覧ください!

DXの意味はざっくりとりあえず「デジタル技術をちゃんと活用できる組織や社会にして豊かになっていこうね!」くらいに思っていただけたらOKです。

私はこれまで3回にわたって記事をまとめてきて、

  • 2017年に安倍内閣の成長戦略として超スマート社会Society 5.0(ソサエティ 5.0)」というビジョンが掲げられ、各省庁、行政のDXを推し進めるべく取り組んでいたものの、歩みの遅さがコロナ禍で一気に可視化されたこと
  • 2020年9月に誕生した菅政権は、安倍政権時の成長戦略を引き継いで「デジタル改革」という政策を打ち出し、「デジタル庁」という司令塔によって日本社会のデジタル化の遅れを一気に取りもどそうとしていること
  • 日本政府の掲げるデジタル社会とは「誰ひとり取り残さない」「人にやさしいデジタル社会」であること

がわかってきました。

すでに、日本社会のDXの鍵である「マイナンバーカード」の普及や使い勝手向上の取り組みも進んできており、日本政府はSociety 5.0の社会へと着実に歩を進めています。

そんな中、私たちフツーの人はどうすればいいのか?

誰しもがよりよく生きられる社会の実現のためには、多種多様な人々の個別具体的なたくさんの課題に向き合っていかなければなりません。それは行政だけでは到底対応し切れるものではないでしょう。

ということで、「社会問題を政府にまかせっきりにせず、政府も自治体も企業も民間人もみんなで力を合わせればいいじゃない!」という「共創」という考え方が世界の潮流となってきているのです!

Contents

これからは「共創」がスタンダード!自動販売機型から脱却せよ

アメリカの政治学の専門家ドナルド・ケトルは、著書「なぜ政府は動けないのか:アメリカの失敗と次世代型政府の構想」にて、お金(税金)を入れたら画一的な行政サービスがガシャンと出てくるシステムを「自動販売機型」と表現しました。

▼なぜ政府は動けないのか ドナルド・ケトル著 組織と制度のあるべき姿を描く | 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXDZO36981450T01C11A2MZC001/

カリフォルニア州知事であるギャビン・ニューサムが、サンフランシスコ市長時代に「自動販売機型行政」や「政治家と市民の断絶」を問題視し、DXに取り組んだ経験をつづった著書「未来政府―プラットフォーム民主主義」では、市民参加型の取り組み事例が紹介されると共に、オープンデータによる協働ベースの政府の必要性が述べられています。

世界の幸福度ランキングで上位を占める北欧諸国では、選挙期間中に各政党を周って話を聞く学校課題や学生による模擬選挙があるなど、子供のうちから徹底的に民主主義を叩き込まれます。市民と政治の距離が非常に近く、市民の政治参加はもはや当たり前です。

その土壌が女性の社会進出率の高さフィンランドの世界最年少の女性首相サンナ・マリンスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリの登場につながっているのでしょう。

一方、日本はどうでしょうか?

政治家の5割以上が世襲議員(他先進諸国の世襲議員割合は1割以下)という現状を考えると、多くの市民が政治に関心を持っているとは思えません。全体の投票率が低いと組織票を持っている人が一人勝ちをするということになり、そうなると、新しい人や考えが政治の世界に入っていかず、特定の人のみが生きやすい社会になるのは当然の流れのように思えます。

ですが、多くの複雑な社会問題を解決しようとするならば、実際に困っている人の声を取り入れる仕組み、政治家・行政職員以外の技能や知識を持つ市民の政治参加が必要不可欠です。

日本国の動きは遅々としていますが、いち早く共創の考えを取り入れ実績を上げている地方自治体が実はたくさんあります。その中のいくつかをご紹介させていただきます。

地方自治体で進む「共創」

福井県鯖江市

めがねのまち・鯖江市は、2010年から全国に先駆けて「オープンデータ」に取り組みました。

オープンデータとは、国や地方自治体、公益企業などが持っている公共データを二次利用しやすい形に公開すること。

鯖江市が公開したデータにより、ごみすてアプリや公共トイレマップ、AED・避難所マップなどが市民の手によって制作されました。

▼データシティ鯖江
https://data.city.sabae.lg.jp/

埼玉県横瀬町

秩父の山に囲まれた自然豊かな小さな町・埼玉県横瀬町は「消滅可能性都市」の一つとして人口減少の危機に瀕しており、多様性や新たな挑戦を受け入れる意識改革が必要でした。

そこで、「カラフルタウン」「日本一チャレンジする町」というコンセプトを掲げ、多様性とチャレンジを尊重するまちづくりを行い、横瀬町を使ってさまざまなチャレンジができる官民連携プラットフォーム事業「よこらぼ」を設立しました。

バスロケーションアプリ「見えバス」、遠隔子育て相談「小児科オンライン」、高齢者向けプロジェクト「みまもりあい」など、4年間で80件以上の取り組みを行なったとのこと。

▼日本一チャレンジする町 横瀬町
https://www.town.yokoze.saitama.jp/

▼よこらぼ
https://yokolab.jp/

神奈川県横浜市

横浜市では2008年にいち早く公民連携の専門部署を設け、民間人材の公募などを行い話題となりました。

民間事業者からの相談・提案窓口「共創フロント」では、ここを出発点にたくさんの事業が実現。その他、「共創ラボ・リビングラボ」「共創オープンフォーラム」で市民と行政が社会問題の解決策を一緒に話し合う場を設けるなど、多様化・複雑化した社会に対応するための取り組みを行っています。

▼横浜市の共創
https://www.city.yokohama.lg.jp/business/kyoso/kyoso-info/kyoso.html

COCOAの失敗から「共創」のあり方を考える

「共創」と言っても、行政と民間がただ力を合わせてうまくいくものではありません。それを考えさせてくれるのが、新型コロナウイルス感染者接触アプリCOCOA」ではないでしょうか?

アプリをインストールした全体の3割が利用していたAndroid版で、4ヶ月もの間濃厚接触通知がされていなかったことがわかりました。どうしてこのような事態になってしまったのでしょうか。

▼COCOA 沈黙の4か月 不具合はなぜ見過ごされたか | NHK政治マガジン
https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/53380.html

COCOAの不具合に関して、衆議院内閣委員会で高井崇志議員から「発注だけして終わりという、ITに対する行政の姿勢が引き起こしてしまったのではないか」「バグを修正し続けるための保守運用費をしっかり用意すべき」という指摘がされました。

それに対して、平井卓也・デジタル改革担当大臣は

  • 厚労省だけでなく、政府全体として発注能力が十分でないこと
  • 職員は2、3年で部署異動してしまうため、そもそも発注能力を高める仕組みになっていないこと
  • 一緒にリスクを取る姿勢や常に改善していくというマインドが欠けていたこと

を問題点として上げました。その問題点を踏まえて、デジタル庁では

  • 職員としてエンジニアを多数採用
  • 行政職員のIT能力の向上のための研修の実施
  • マインドセットから変えていく

といった取り組みをしていくと述べました。

まさしく、「共に創る」という意識が欠けていたからこそ起こったCOCOAの不具合。民間企業や一般市民からも、丸投げマインドの省庁・行政職員に対してビシビシ指摘していく必要がありそうです。

「共創」という意識をどれだけ多くの人が持てるか

日本は諸外国に比べて犯罪が少なく清潔で安全に暮らせる国と言われていますが、2021年版の世界幸福度ランキングで56位、2020年版の男女格差指数ランキングでは121位表沙汰にならない不満が山積しているように感じます。それが、年間の自殺者数2万人超につながっているのではないでしょうか。

日本人は立場や年齢などによって「こうすべき」という型にはめよう、はまろうとしがちです。ですが、そもそも人間は多様的な生き物であり、早くそれを認め、様々な側面を持つ人々が共に快適に暮らせる社会にするためには、より多くの人の政治参加が必要です。

政治家も行政職員もフツーの人も「自動販売機型」の古い概念を捨て去り、共に課題解決に取り組めるかが、これからの社会形成の命運を分けることになるでしょう。

次回予告:日本社会のDXを左右する「マイナンバー」を深掘り!

人間にやさしい社会「Society 5.0」の実現のためには、「日本社会のDX」と「より多くのフツーの人の政治参加」にかかっています。

その中で大きな鍵となるのはやっぱり「マイナンバー」でしょう!

今、マイナンバーに戸籍、住民票、健康保険、運転免許などのさまざまな個人情報を紐付け、自分で管理できる仕組みが整えられようとしています。情報の一元化こそマイナンバーの本領発揮といったところですが、今までは受け入れられない人々の声が大きすぎて、何のために作ったのかわからない制度となっていました。

ですが、マイナンバーなくして日本社会のDXは成し遂げられません。

次回は、政府はマイナンバーをどういう風に使っていきたいのかを各国の個人IDの使われ方も踏まえて深掘りしていこうかと思います!

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