堀江政経塾×DX⑥ 外国のDX(経済産業省の調査より)

経済大国をデジタルでつなぐイメージの画像

皆さん、こんにちは、塾の1期生の”おーかた”です。この記事では、堀江政経塾で学んでいることについて、ご覧いただいている皆様にご紹介します。今回も「DX:Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」についてです。DX初心者で政治に関心のある私と一緒にDXについて学んでいきましょう!

ちなみに、前回のブログ記事はこちらです。

以前の記事で、デンマークのDXについてご紹介しました。今回は、この外国の取り組みの部分を掘り下げようと思います。

ちなみに、もう一人のブログ執筆者「とにぃ」さんのブログでも、前回はエストニアの取り組みを調べていました。

では、今回またまた経済産業省を調べてみます。すると、諸外国の調査をしているようです。NTTグループが受託していたみたいですね。

令和元年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業(デジタルガバメントに関する諸外国における先進事例の実態調査)報告書

https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2019FY/000247.pdf

(令和2年3月31日 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ経営研究所)

ちなみに、余談ですがこの調査を行った事業「経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業」自体は、その後も活動を継続しているようです。R3年度も新しい公募をしています。この事業、今後も深掘りしても面白いかもしれません。

令和3年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業(法人データ連携基盤の保守・運用事業)に係る公募(入札可能性調査)について

https://www.meti.go.jp/information/publicoffer/kobo/2021/k210202003.html

さて、今回は、この令和元年度の報告書のポイントを私なりにピックアップしてみます。全部で314ページとかなりのボリュームですが、はじめの方に数ページで事業概要と総合総括があります。事業概要のはじめのページを転載します。(詳細をお知りになりたい方は報告書を開いてご覧ください。)

事業目的

本事業は、我が国デジタルガバメントの取組を効果的・効率的に進めるために、主要なデジタルガバメント先進国の現時点での取組を、一覧性をもって把握することを目的とする。

• 令和元年5月にデジタル手続法が成立し、わが国でもデジタルガバメントの取組による行政サービスのデジタル化を通じた利便性向上、より良質な政策立案とその実施が急務となっている。これを効果的・効率的に進めるためには、海外も含めた優良事例を把握し参考としながら、自らの取組に活かしていくことが重要である。

• 経済産業省では平成30年7月にデジタル・トランスフォーメーション室を設置し、事業者向け行政サービスのデジタル化を推進してきたところである。この取組を進めるに当たり、これまでも先進的な諸外国のデジタルガバメントの取組につい て調査を行っており、「 平成28年度電子経済産業省構築事業( デジタルガバメントに関する諸外国における先進事例の実態調査 」
https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/H28FY/000454.pdf を実施したほか、諸外国の視察を通じてその優良事例を学び、経済産業省のデジタルガバメントの取組に活かしてきた。

• 一方で諸外国のデジタルガバメントの取組もテクノロジーの進化により加速しており、主要なデジタルガバメント先進国の現時点での取組を、一覧性をもって把握することが必要となっている。

• 係る観点から、本事業では、 諸外国のデジタル ガバメントに関する取組について、海外政府の担当者へのインタビュー 等を通じた実態調査を行う

この報告書では、私もこれまで紹介した経済産業省のDXの取り組みを踏まえて、「これまでがんばっているけど、そうは言ってもまだまだ先進的な外国の取り組みがたくさんあるし、調査が必要だよね」ってことから調査がスタートしたということですね。対象国は、米国、英国、エストニア、シンガポール、中国、インド、デンマーク、韓国の計8か国と記載されていました。

さらに、総合総括では、3つのポイントにまとめて説明がされています。8か国を比較したら、「3つのポイントに類型化できました」ということですね。3つのポイントは以下の通りです。

①:データ管理の一貫性・データ連携環境の整備状況
②:行政機関横断的な共通アーキテクチャーの採用状況
③:政府によるデジタルサービスの社会インフラとしての浸透度

「①:データ管理の一貫性・データ連携環境の整備状況」を具体的にみてみましょう。

●“データの一元管理”が進んでいる(シンガポール、エストニア)
→(国の特徴、政府の成り立ち)
•“国の規模”が小さい

●“Base Registry”の概念が明確:政府が主体となって、情報の信頼性を担保し、組織間の相互参照性を担保するための仕組み・データ連携基盤を整備している(デンマーク、韓国)
→(国の特徴、政府の成り立ち)
•“地方分権改革”に取り組むなかで、自治体と中央政府との独特のバランス関係を構築している。自治体管理のデータについても、中央政府が介入。

●“実質的なBase Registry”を有している:データの信頼性について国が責任を持つのではなく、地方政府が管理しているデータを、地方政府同士・中央政府との間で共有する仕組みを整備(中国、インド)
→(国の特徴、政府の成り立ち)
• 州や省といった“地方政府の権限が強い”
• インド“政府への信頼度*1”が高く、データ連携やデータ活用に対する国民の抵抗感が弱い

●データの統合・連携が進みにくい:データ管理の一貫性・相互参照性を高めるためのデータ標準の策定を進めている、あるいは、単にオープンデータカタログを公開している(米国、英国)
→(国の特徴、政府の成り立ち)
• ”プライバシー意識”が高い
• 国の制度が複雑で、制度や所管組織ごとの“データ管理方法が千差万別”、”官民にデータが分散”

Base Registryって聞きなれないので調べてみました。「公的機関等で登録・公開され、様々な場面で参 照される、人、法人、土地、建物、資格等の社会の基本データ」ということです。

ベース・レジストリの概要
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dgov/data_strategy_tf/dai1/siryou2.pdf

(参考:首相官邸HP)

報告書の内容に戻ると、国の規模、中央政府と地方政府との関係性、政府への信頼度、プライバシー意識など、様々な要素が関わっていることが分かります。日本は、4番目の「データの統合・連携が進みにくい」に近そうですが、いかがでしょうか?

他にも、この資料では、シンガポール、エストニアが進んでいることが分かります。ただし、日本とは人口規模が違うので、もしかしたら丸々参考にすることは難しいかもしれませんね。現実的には、デンマーク、韓国のタイプか、中国、インドのタイプかのどちらかを参考にした方がよいかもしれません。

こうした資料を参考にして日本と比較すると、日本でなぜデジタル化が進まないか、という構造的な背景も分かるかもしれません。単に、「政治家さんがやる気がない」とか、「政党を変えたらうまくいくのでは?」というだけの問題でもないのかもしれませんね。

さて、今回はこのあたりまでとして、次回は「②:行政機関横断的な共通アーキテクチャーの採用状況」と「③:政府によるデジタルサービスの社会インフラとしての浸透度」の部分を見ていこうと思います。

今回もお読みいただき、ありがとうございます(私のスキル不足で文字ばかりですみません…)。今回、諸外国の現状について整理してみましたが、視野を広げるってとても大切だと思います。そして、それぞれの国の取り組みの裏には、政治だけでなく、文化や価値観も関わっているようです。

そして、その国の文化や価値観って、変わらないようで、少しずつ変わるものだと、私は思っています。堀江政経塾では、日々、自分たちの価値観を見つめなおすようなユニークなやり取りをしていますよ!興味のある方は、ご参加くださいませ(^^)/

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